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世界紀行 ESSAY,5『パリでのお買物』




ESSAY,5

『パリでのお買物』



今日は、楽しみにしていた、ショッピングの日です!

最初は、オー・プランタンと、ギャルリー・ラファイエットに向かいました。

オペラ座の近くにあり、いつも多くの人で賑わっています。

(人が多いだけに、夕刻になると、ゴミで道が汚くなります。

 大好きなパリなので、これだけは残念・・・。)

プランタンやラファイエットは、日本のデパートと、それほど違いがあるわけではありませんが、色の豊富さには、やはり圧倒されます。

どの商品のディスプレイも、フランスならではの色合いと、洗練された組み合わせが楽しめて、見ているだけで、ワクワクしてきます。



そう言えば、街を歩くパリジェンヌ達のファッションにしても、高価な洋服や、最新のファッションで身を飾るというより、髪や瞳の色に合わせて、色の組み合わせを楽しんでいるように思います。


もちろん、黒や白、グレーなど、

シックでシンプルな色でまとめるのも素敵ですが、複数の色を組み合わせて、"色を遊ぶ"ことも、素敵だと思うのです。

私は、自分の洋服を選ぶ時、質や素材はもちろんですが、色もかなり重視します。

派手な色を好むとかではなく、色と色の組み合わせ、配置、分量を考えて、揃えるようにしています。ハッとするような、新鮮で素敵な色合わせ等は、私の経験上、

インポート物に多い気がするので、チェックはかかせません。


お花のアレンジメントのレッスンでも、常に色の妙味を活かした、

新鮮なアレンジを心がけるようにしています。

お花はそれぞれが、素敵な色を身にまとっています。

その組み合わせ次第で、表情がまるっきり変わってしまうのが、

アレンジメントのおもしろいところです。

それぞれのお花の個性を大切にしつつ、

全体的には、美しいハーモニーが響くようにと、考えていますが、

色で遊ぶだけでなく、いろいろな素材も組み合わせていくと、

アレンジのアイディアも、無限に広がるので、

時間を忘れて、つい夢中になってしまいます。

色で遊ぶって、楽しいと思いませんか?




さて、ショッピングと言えば、やはりブランド店もチェックしたいですよね。

エルメス、ヴィトンなど、いくつか訪れましたが、

中でも印象深かったのは、エルメス本店でした。

まず、ショーウィンドウをちらっと見ると、区切られたスペースごとに、

ストーリーと、シーンが展開されていました。

6月だったので、これから始まるバカンス気分いっぱいの、

夏の海のリゾート、ピクニック、上品なダイニング・テーブルなどが、

遊び心を覗かせながら、ディスプレイされています。

でも、ステイタス・シンボルとしての気品もきちんとあって、

背筋がスッと、伸びるような気がしました。


さぁ、姿勢を正して、中に入りましょう。ちょっと緊張する瞬間です。

二階のフロアで、一番眼をひいたディスプレイは、

ガラスのショーケース(高さ1mぐらいのケース)の上に置かれた、

アレンジメントでした。

2、3色の淡い色のスイトピーだけを、300本ぐらい贅沢に使っています。

そのアレンジは、潔くて、上品で、気高い雰囲気すら感じられました。

エルメスの心意気というか、エルメスが生活の中に提言したい、

志の高さを見せられたようで、ハッとしました。

一流であるということは、商品が一流であることはもちろんのこと、

その精神が、お店のどの部分にも感じられるということかもしれません。

さすがはエルメスです!

本当に、エルメスを身につけるにふさわしい女性になりたいな、

と思わせてくれました。




遅いランチを楽しんだ後、今度はチョコレート屋さんに寄ることにしました。

ホテルから5分ほど歩いた所に、2軒並んでチョコレート屋があります。

一つは、日本でも有名な"GODIVA"。

もう一つは、日本では、直営店はおそらく青山にあるだけの、

知る人ぞ知るお店、"La Maison du Chocolat(メゾン・デュ・ショコラ)"です。

一度訪ねてみたかったので、後者のお店に入りました。

有名店なのに、間口も狭いし、店内もそれほど広くはありません。

中に入ると同時に、優しい笑顔と、甘い甘い香りが、私を包んでくれました。

入ってすぐ左手に、チョコレートのショーケースがあります。

そこには、磨き抜かれた宝石のような、チョコレートが!!

それは、それは、美しく、大切な赤ちゃんを扱うように、

ていねいに並べられています。

美味しそうというより、"キレイ!"という感嘆の声が出ました。


このお店のチョコレートは、日本でもかなり高価ですが、

フランスでも、けっこうなお値段です。

確かに贅沢ですが、それだけの価値はあると思います。

ショーケースの後ろには、セット商品の他に、お皿やリボン、箱などが、

きれいにディスプレイされています。

その色合わせも、いかにも"フランス"という華やかな色合わせで、

チョコレートの香りもあって、だんだんうっとりしてきました。


その中の一つのお皿が、とても気に入ったので、買い求めました。

それは、リモージュのお皿で、ピンクと黄緑と黄色、そしてゴールドのラインが、

上品に組み合わされていて、やさしい幾何学模様をつくり出しています。

そのお皿は今、アトリエでお紅茶をお出しする際に、

お茶うけのチョコレートなどをのせて、フランスの香りを漂わせてくれています。


メゾン・デュ・ショコラを出て、少し歩くと、フランスの若者に人気の雑貨店、

"ザ・コンランショップ"に着きました。

東京店は、新宿パークタワーにありますが、パリ店も、とてもおしゃれで、

シンプル&モダンな雑貨が、センス良く並んでいます。

ここにある商品はすべて、テレンス・コンラン卿によって厳選されているので、

質の高さだけでなく、実用性も高く、安心して使える商品ばかりです。



さらにすばらしいところは、これだけたくさんの商品があるのに、

すべてに調和があって、しかも組み合わせに、創造性を感じるところです。

特に、"ライフデザインのクオリティを高める"というコンラン卿の考え方が、

ストレートに伝わるのが、商品ディスプレイの特設コーナー。

このディスプレイは、必見ですよ!

商品が美しく並べられているだけでなく、遊び心もあって、

さらに、商品そのものの個性や、そのアイテムがある空間の演出がステキです。

もちろん色の組み合わせも、都会的でクールでありながら、新鮮。

エルメス本店と同じように、商品の背景にある空気というか、ポリシーまでもが、

ごく自然に感じられるので、本当に刺激的で、勉強になります。

新宿店だけでなく、丸の内店もオープンするそうなので、

ぜひ一度、ご覧になってくださいね。






さて、いろいろ歩き回ってみましたが、

どのショップも、時代の流行や気分を取り入れながら、十分に、楽しませてくれました。

もちろん日本のデパートやショップも、便利で楽しいのですが、

パリのショップは、どんなに小さなお店でも、個性が明確で、

オーナーの気持がきちんと提示されているので、その姿勢が、私には心地よく感じられました。



そしてそれは、レストランでも共通する感想です。

"ル・グラン"など、伝統的なスタイルを守ったレストランのお食事も、もちろんすばらしかったのですが、

その時、若者に一番人気だという、"バブルス"というレストランでは、

味付けのベースも違っていましたし、お皿も盛りつけもシンプルでおしゃれ。

若い人の味覚に合わせた、さっぱりした味を基調に、流行のスパイシーな感覚を混ぜたりと、

新しさを追求する冒険心が、こちらの気分をぐっと高めてくれて、本当に楽しい食事を楽しむことができました。



古い物と新しい物が、それぞれの個性を主張しながら、でも、決して全体のバランスをくずさずに、共存している。

パリは、何度来ても、新しい発見ができる大好きな街です。


 
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