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『カナダ、ESSAY,5』
今回のカナダ紀行は、コロンビア大平原と、
パーカー尾根でのハイキングについて、ご紹介いたします。
<コロンビア大平原>
バンフ国立公園から、ジャスパー国立公園に向かう途中にある、
コロンビア大平原は、360度、見渡す限り地平線、といった感じの大平原です。
その大平原の向こうには、コロンビア山などの山々があり、
そこからコロンビア・アイスフィールドという、大氷原が広がっています。
その大氷原とは、3745メートルのコロンビア山と、
その周辺の峰々との間に降り積もった雪が、解けることなく堆積され、
その底の部分から、長い時間をかけて氷となったもので、
現在では、厚さ数百メートルの氷が、325平方キロに渡って広がっているのです。
しかし、1万年程前までの氷河期の頃、北米大陸を覆っていた氷河も、
現在は、この地域の高山地帯でしか見られないのだそうです。
コロンビア大平原に行くために乗る、
雪上車(スノー・コーチ)の発着場所の近くには、
休憩場として使われている、赤い屋根の建物があります。
その建物は、遠くから見ると、白い大平原を背景に浮かぶ、小さなお花のようで、
とてもかわいらしいんですよ。
氷しかないような大平原ですが、開放的な景色がとても素晴らしいので、
もう何度も訪れているのですが、やはり快晴の時が最高です。
まず、20〜30人乗りの雪上車に乗車します。
以前は、タイヤ部分に当たる所に、キャタピラが付いていましたが、
今は、大きく溝のある太いタイヤを使っています。
観光客を乗せ、横に氷河を見ながら出発し、20〜30分、
揺れながら登っていくと、かなり広く平らな場所に到着します。
その向こうには、男性的な山々がそびえ、氷河がはっきり見えてきました。
そこで雪上車から降りて、氷河の上を歩くことになるのですが、
その辺りの氷の厚さは、約300メートル。
氷河が1年間に移動する距離が、平均20メートルほどだとすると、
私が立っているこの部分は、アサバスカ氷河が流れ出している地点から、
3.5kmぐらい下流なので、この足の下の氷というのは、流れ始めてから、
約175年も経っている氷、という計算になります。
でも、そもそも、この氷がコロンビア大氷原で誕生してからと考えると、
もう数万年の年月が流れているわけで、
気の遠くなるような時間を背負った氷の上に、
私は立っているんだと思うだけで、とても神妙な気分になりました。
そこは辺り一面、"白"一色の世界なのですが、太陽の光も反射しているので、
眼を普通に開けていることが、危険だと思うぐらいのまぶしさです。
そして、表面に積もった5センチほどの雪を掻き分けると、
下の氷を見ることが出来るのですが、
その氷の色は、透き通るようなブルーで、ところどころにある割れ目からも、
同じブルーの水が、しみ出していました。
その水の色の、何と幻想的なことでしょう!
この世のものとは思えない、神秘的な色をたたえているのです。
その氷河を砕いて、お酒を飲んでいる人がいましたが、
きっと格別な味なんでしょうね。
そこから少し先に歩いていくと、氷河の塊がありました。
そこで上を見上げると、「白い世界」の上には、真っ青な空があり、
向こうの雪を抱いた山からは、蒸気が出ているのが見えました。
その雄々しい光景を目の前にしたら、
数万年という、長い長い時間と、この大地をおおっている大気とが混ざりあい、
一気に私の中にも流れ込んで、一つになっていくようで、
しばらく呆然と、立ちつくしてしまいました。
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